イギリスが1974年以来初の hung parliament
(ハング・パーラメント:宙ぶらりん議会)になったため、
Nick Clegg (ニック・クレッグ)は去年の
「誰それ?」状態から飛躍していちやく時のひとですね。
このひと、Liberal Democrats
(自由民主党)の党首なんですが、
二大政党の Labour (労働党)の Gordon Brown と
Conservatives/ Tories (保守党)の David Cameron
二人の勢力に押されて、これまで影がとっても薄かった。
去年の街頭アンケートでは、
彼の顔写真を見せられてもそれが誰だかわからない
というひとが相当数いたくらい。
その彼が今では kingmaker で、
イギリスの政治の行方の鍵を握る人物に。
ブラウン・キャメロン両陣営から
熱いラブコールを一身に受けるとともに、
国民の注目までも集めてる。
引っ張りだこでいいご身分だねえ・・・
下手に勝って今後数年の緊縮財政の重責を負わされるより、
恩を売り知名度を上げおいしいとこだけ持っていけて、
一国を率いるにはまだ力不足な自民党には
実はベストな結果だったんじゃ?
いやあ、しかしアメリカのブッシュ・ゴア攻防といい、
オバマ大統領誕生の選挙といい、今回のイギリスのといい、
選挙って実はおもしろい?
今回のイギリス総選挙に関して言えば、
ここ数年の国民の鬱積した不満に上乗せして、
“Party Leaders’ Debate”(党首討論)の
TV 放映というショー的要素が加わったおかげで
国民の関心度がとても高かった。
「X Factor (タレント・コンテスト番組)かよ…」
という冷ややかな声もあったけど、
実際結果も出てるんだし、
まあ別にいいんじゃないの。
とはいえせっかくのその関心度の高さが
裏目に出た面も。
投票所に出向いた有権者の数が
予想をはるかに超えていたせいで、
3時間待ちのところも。
ロンドンやマンチェスターなどでは、
法定の投票所閉鎖時間 22:00 に、
外に長蛇の列があるにもかかわらず
有権者を締め出す事態も報告された。
参政権の行使を否定されたひとたちの
「イギリスのような民主主義先進国で
こんなことが起こるなんて!」
とのお怒りは当然だと思う。
ちなみに今回の各政党の獲得議席数は、
保守 306、労働 258、自民 57、他 28。
国民の悪化する政治不信から労働党の議席減は
当然に予想できたけれど、
意外だったのは自民も議席数が沈んだこと。
クリーンなイメージのニックが TV 討論で高感度大で人気を伸ばし、
「これは、尊大な二党政治に喝をいれられるかも?!」
と期待されていたのにね。
Strategic voting (戦略的投票)を垣間くぐって
第一党に躍り出た保守党はがんばったねえ。
でも、それでも組閣に必要な過半数326議席にわずかに足りず、
イギリスはいま・・・ 宙ぶらり~ん。
自民党がどうでるか見もの。
国政は選挙民の声を反映するべきだとの信念にのっとり、
彼らの悲願は比例代表制への選挙制度改革。
その信念のために、第一党となった、
政策的にはあまり相容れない
保守党の組閣支持を表明せざるをえないはめに。
そして現在キャメロンとの連立交渉中。
でも本音を言えば、政策的にもより近く、
選挙制度改革のレファレンダム実施を提示している
労働党の元に駆けつけたいだろうなあ。
ちなみにわたしのまわりの一般庶民の感触は、
支持政党が政権を取れていないという不満はさておいて、
各党首がやっきになっている姿を
「いい気味だ。思い知ったか」
とさめている。
それにしても、ブラウン首相失言事件や
UKIP 元党首墜落事件などのハプニングもあって、
とかく話題には不足しない総選挙だったなあ・・・
って、まだ終わってないんだよね
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