ローマ教皇のイギリス公式訪問

教皇ベネディクト16世

教皇ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)が
9月 16日より4日間イギリスを訪問するというので
イギリスは蜂の巣を突っついたような騒ぎです。

教皇のイギリス訪問は 28 年前にもあったものの、
今回のは 初の公式訪問
エリザベス女王の招待によるもので、
女王との会談も予定されている。

この歴史的大イベントに先駆けてここ1週間は TV でも
ローマカトリック教会関連の番組が目白押しだったのも手伝って、
ひとびとのテンションは高い。

ちなみにイギリスの宗教事情ですが、
ヘンリー8世の治世に
(離婚を認めてくれない当時の教皇に業を煮やして)
ローマカトリック教会から独立し、
イギリス国教会を樹立したという歴史があります。

人口の 72% はキリスト教徒で、うち 10 %がカトリック。

イギリス国教会はプロテスタントに分類されるそうですが、
元はローマカトリックから分派したものなので、
カトリック寄りの部分も多いんだとか。

…と書くと歓迎ムードを想像しますが、
実は 荒れてます


イギリスでは近年
リチャード・ドーキンスRichard Dawkins
の著書が連続ベストセラーになり
無神論者たちの動きが活発化、
そこにイギリスが誇る科学者
スティーヴン・ホーキング(Stephen Hawking)も
「宇宙の創造には神を要しない」
と神の存在を否定する論を発表。
The Grand Design

ここ数年で勢いをつけて
無神論派が台頭してきているんです。

そして無神論派のみならず、
幹細胞研究・IVF・避妊・堕胎・同性愛を否定する教会への不満、
聖職者による児童虐待およびその隠蔽発覚からの教会不信…
と、イギリスではいま、
ローマカトリック教会に対する風当たりがとても強い。

Protest the Pope という、
教皇の公式訪問に抗議する団体を一致団結させるための
統括組織まで出てきています。

カトリック教会内部からも、
女性の聖職授任や禁欲主義などについての
改革をもとめる声が強くなっており、
「ひとびとの声にもっと耳を貸すべきだ。
教会は前進するどころか後退している」
との批判があがっている。

野外ミサ
野外ミサの空席は学校に割り当て体面を取り繕ったとの噂も・・・

不人気は信者の行動にもあらわれています。

スコットランドでの野外ミサはチケットの売れ行きが芳しくなく、
10 万人規模で予定していたのを6万5千に縮小。
イングランド、ウェールズでも同様で、
数千もの空席が埋まらないまま。

今回の公式訪問の費用に至っては、
信者から寄付を募るも目標額の約半分しか達成できず、
結局イギリス国民の税金から訪問費用の大部分をまかなうことに。

前教皇ヨハネ・パウロ2世の6日間のイギリス訪問の際には
総勢 200 万人もの群集に出迎えられたことや
教会が費用を大部分負担できたことを考えると、
「時代が変わった」のか
「教会が方向性を誤った」んでしょう。

まあ、民衆を意識して一般受けのよかった
カリスマ的なヨハネ・パウロ2世に対して、
ベネディクト 16 世はまず教義ありきで
民衆におもねるのを善しとせず、
『真の信者による少数精鋭の教会』をめざす
ハードコアな学者タイプらしいので
流れ的には無理もないのかも。

しかし…
宗教自体の是非やローマカトリック教会のかかえる問題や
教皇個人の人格はさておくとしても。

税金から 1300 万ポンド?

国民のこころが荒んでいるこの不況のなか、
特定宗教団体の首長という宗教色の濃い人物を迎えるために?

ウチの血税は
NHS(医療)に、警察に、教育にまわしてくださいな。

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